「こころの処方箋」河合隼雄(著)
先日、「こころの処方箋」河合隼雄(著)を読みました。 河合隼雄氏は、ユング心理学の大家だそうです。相当難しい論文なども書かれているのでしょうが、この文庫になっている本は、平易な言葉で30編くらいのエッセイ集として書かれていてとても読みやすくなっています。
「ここだけは是非読んでみて。本当はもうひとつ読んでもらいたいところがあるけど、とりあえずこれだけ」
と言ってしおりを挿んでくれました。
その夜、ベッドの中で読んだ内容は、
「イライラは見通しの無さを示す」
でした。読んでみると、まさにドンピシャ!まさに大当たり! いやー、「岡目八目」とはよく言ったものです。^^
内容は、人が相手に対してイライラしたり怒ったりする本当の原因は、自分の中に有るのだそうです。
例えば、相手の行動の遅さなどでイライラしたり怒ったりするのは、自分のするべき事が期限内に終わってないことが本当の原因だったりするのです。
同様に、相手の嫌な性格や一面を見せつけられ、実は自分自身にも同様のそれが有ると、普段は意識していない自分の内面を相手を通して見てしまうことになり、それがイラつきの原因だそうです。
筆者はそんな時は、「イライラは見通しの無さを示す」と考えて、自分が己自身の中で、見通しがたっていない事は何かを探れと述べています。
さっそく私もやってみました。
ある日、疲れて自宅に戻ってみると、さっそくイライラが始まりました。(笑)
「ウーン。このイライラの原因は自分の中にある」
「それは何か?自分の過去の言動や性格で思い当たることは無いか?」
「やりかけの仕事で気になることはある。しかし、それが原因とは思えない」
「自分のこの内気の性格か?いや、違う」
「ウーン。ウーン。わからん」
さんざん考えて、結局わかりません。^^
でも、ふと気づくと先ほどのイライラは収まっています。
「あら不思議! どうして?」^^
そんな感覚でした。
おそらく、これは、意識の焦点が相手の言動を攻撃することから、自分の内面への探求へと変わったからだと思います。
つまり私のような凡人は、常日頃から相手がどうのこうのと考えますが、自分で自分のことは何もわかっていない。
「相手を理解する」ことの大切さはよく聞くことですが、「自分で自分のことを理解する」ということはもっと大切なことかもしれません。
ちなみに筆者は、「人の心などわかるはずがない」と述べています。
自分で自分の心さえ理解できていないのだから、他人の心などわかるはずも無い…。
大心理学者をもってしてこの言葉なのですから、凡人の私は、まず自分の心をほんの少しでも理解してあげようと思った次第です。^^
他にもこの著書の中で気になった目次からいくつかあげます。
「人の心などわかるはずがない」
「100%正しい忠告はまず役に立たない」
「心の中の自然破壊を防ごう」
「己を殺して他人を殺す」
「物が豊かになると子育てが難しくなる」
「心配も苦しみも楽しみのうち」
「すべての人が創造性を持っている」
「ふたつよいことさてないものよ」
「『理解ある親』をもつ子はたまらない」
「言いはじめたのなら話合いを続けよう」
「灯台に近づきすぎると難破する」
「イライラは見とおしのなさを示す」
「100点以外はダメなときがある」
「一番生じやすいのは百八十度の変化である」
「灯を消すほうがよく見えることがある」
「のぼせが終わるところに関係がはじまる」
以上、目次読んでるだけでも「目からウロコ」です!
ちなみに、妻から私への2つ目の処方箋は、
「己を殺して他人を殺す」 でした。(^^;